<W解説>果たして日韓首脳会談は行われるのか?両政府で温度差が鮮明(画像提供:wowkorea)
<W解説>果たして日韓首脳会談は行われるのか?両政府で温度差が鮮明(画像提供:wowkorea)
韓国大統領室は15日、米ニューヨークで開かれる国連総会にユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が出席するのに合わせ、岸田文雄首相と日韓首脳会談を行うことで日本側と合意したと発表した。実現すれば2年9か月ぶりとなる。一方、日本政府関係者は「合意については承知していない」としており、両政府間の「温度差」が表れた状況となっている。

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 日韓首脳会談は2019年12月に中国で開催された韓中首脳会談に合わせて当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領と安倍晋三首相との間で開催されて以降、行われていない。国際会議などが開かれる度に首脳会談が行われるのではとの報道が出たが、いずれも実現することはなかった。

 日韓関係改善に意欲を見せる尹大統領側は、できるだけ早期の会談実施を求めてきた。しかし、日本側は日韓の懸案である元徴用工問題などで韓国側が解決策を示しておらず、環境が整っていないとの判断から応じてこなかった。韓国に厳しい立場を取る自民党の一部議員からは「韓国はこれまでも約束を守らなかった歴史があり、日本が前のめりになることはない」とする意見も出ていた。

 だが、6月、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、岸田首相とバイデン米大統領、尹大統領による日米韓首脳会談は約5年ぶりに行われた。岸田首相と尹大統領が対面するのはこの時が初めてで、両氏は晩さん会で簡単なあいさつを交わしたが、日韓会談は開かれなかった。それどころか、晩さん会であいさつを交わした際、どちらから先に声を掛けたかや、岸田首相から尹大統領への発言内容をめぐって韓国大統領室と日本政府とで相違が見られる事態となり、とりわけ日本政府が両首脳の接触に神経質になっていることをうかがわせた。当時、韓国大統領室は、岸田首相から尹大統領に話しかけ「日韓関係がより健全な関係に発展できるよう努力しよう」と呼び掛けたと発表。しかし、日本政府側は「そういうことは承知していない」と否定した。磯崎仁彦官房副長官は当時、両首脳が対話に至る流れについて「晩さん会の際に自然な形で出会った」とし、「ごく短時間、簡単なあいさつを交わした」と強調した。

 尹大統領は来週に米ニューヨークで開かれる国連総会に出席するが、大統領室のキム・テヒョ(金泰孝)国家安保室第1次長は15日の記者会見で、総会に合わせ尹、岸田両首脳が会談を行うことで日本側と合意し、日程を調整していると明らかにした。金氏は「タイトな日程のため30分ほど顔を合わせて行う会談となる。どのような話をするかはまだ決まっていないが、強制徴用(徴用工問題)などの懸案は韓国が自主的にプロセスを進め、日本とも内内に意見交換しているため、首脳が会って確認する必要もない状態で会うことになった」と会談開催を「合意」したとする過程を具体的に説明した。

 一方、松野博一官房長官は15日の記者会見で「現時点で何ら決まっていない」と明言を避けた。その上で、日韓関係について「旧朝鮮半島出身労働者(徴用工)問題や慰安婦問題等により非常に厳しい状況だが、現下の戦略環境に鑑み日韓、日米韓協力の進展が今以上に重要な時はない」と指摘。「日韓関係を健全な関係に戻し、さらに発展させていく必要があり、関係改善のため韓国政府と緊密に協力していく考えだ」と述べた。

 日本政府側は韓国側の発表に戸惑いを隠せない様子で、日本政府の高官は15日、読売新聞の取材に「聞いていない。なぜ、あんな発言が出るのかわからない」と話した。

 16日に開かれた韓国国会の外交統一委員会では、野党「共に民主党」のパク・ジョン議員がパク・チン(朴振)外相に対し「日本政府は日韓首脳会談の開催について『確定していない』との立場を示しているが、どういうことなのか」と質問。これに対し、朴外相は「両国間で協議している最中で、最終調整段階だ」と述べた。「会談することで合意」とした15日の大統領室の発表とはズレが見られる。これにパク議員は「両国の呼吸が合っておらず、われわれ(韓国側)が一方的に日韓首脳会談の開催を哀願しているように見える」と批判した。

 実現すれば2年9か月ぶりの首脳会談となるが、現在、両政府とも支持率低迷に悩まされている状況で、こうした中で開催されたとしても互いに国内情勢を意識し、実のある会談となるか不透明との見方もある。

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