1992年の中韓修交以降、韓国は世界の工場と消費市場である中国の急激な成長の勢いに乗り「経済強国」へと飛躍することができた。昨年は、総輸出額6444億ドルのうちその4分の1を超える1630億ドルが「対中輸出」であった。韓国にとって中国は、2003年以降19年連続で不動の最大輸出相手国である。
また、輸入の割合も絶対的である。韓国の未来動力であるバッテリー生産用レアアースは、その90%以上を中国に依存している。昨年の「尿素水」事態からもわかるように、中国の「小さな翼の動き」も韓国の産業にとっては「台風が吹きすさぶ」構図となっている。
特定国家に対する依存度の高い経済リスクがどれほど影響を与えるかについては、今回のドイツをみればよくわかる。ドイツは天然ガスの55%をロシアに依存しているが、ウクライナ事態による国際社会のロシア制裁に参加したことで困難に直面している。ロシアがガス供給パイプを閉めたことで、ドイツの一部産業はシャットダウン(運営中断)に追い込まれ、ガス配給税まで検討されている状況である。
世界2位の経済大国である中国との互恵と協力関係は続けられなければならないが、経済依存度に足首を掴まれ、主権国である韓国の声が制限を受けたままではいけない。
そうするために韓国には「中国の代案市場」が必要で、「多角化」にも積極的に乗り出さなければならない。そのような点でユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が今回のNATO会議期間、フランスと原子力発電、オランダと半導体、ポーランドと防衛産業協力強化のための「セールス外交」を展開したのは、とても望ましいことだ。韓国における多くの新たな輸出市場や供給網構築・未来技術協力の相手は、緊要なヨーロッパ諸国である。比較優位による効率性を重視する世界化時代において、新冷戦のブロック化時代へと移行するグローバル環境の変化に合わせ、原発・防衛物資・半導体など韓国が競争力を備えた産業需要を増やしているのは、機会がその要因である。
中国の成長が鈍化し内需中心戦略へと転換している状況であるため、この20年間韓国が享受してきた「中国を通じた好況の時代」は終わりを迎えている。NATOを通じた「安保地平の拡大」だけでなく、ヨーロッパを通じた「経済活動枠の拡大」でも成果をあげてこそ、持続的な成長の土台が築かれることになる。
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