韓国の尹錫悦大統領がことし3月、邢海明(シン・ハイミン) 駐韓中国大使から習近平中国国家主席の祝賀書簡を受け取り、記念撮影をしている様子(画像提供:wowkorea)
韓国の尹錫悦大統領がことし3月、邢海明(シン・ハイミン) 駐韓中国大使から習近平中国国家主席の祝賀書簡を受け取り、記念撮影をしている様子(画像提供:wowkorea)
スペイン・マドリードで開かれたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議の日程を終え、きょう(1日)帰国した韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、自由民主主義に基づいた価値規範の連帯を掲げ、NATOと米国・日本など西側諸国と「密着」した。一方、朝鮮半島情勢と韓国経済においてかなりの割合を占めている中国との関係をどのように解いていくかは「課題」として残っている。

尹大統領は、初の多国間外交舞台であったNATO首脳会議期間、「反中路線」と評価されるほど「脱中国」の動きをみせた。尹大統領はNATO首脳会議の演説を通じて「今日、国際社会は単一国家としては解決できない複合的な安保脅威に直面している」とし「新戦略概念が反映されたインド・太平洋地域に対するNATO次元の関心も、このような問題意識をよく表している」と語った。

「中国」を名指ししなかったものの、NATOが今回の首脳会議で採択した “2022戦略概念”で、中国を「規則に基づいた国際社会をひっくり返そうと努力している国家」と規定し「中国の明示的な野望と強圧的な政策は、われわれの利益・安保・価値に挑戦している」と批判した。

またAP4(アジア・太平洋4か国)首脳会議で、ことし下半期の目標として新たなインド・太平洋戦略を立てることにしたのも、同じ脈絡だと言える。

韓国政府は「中韓関係は相互利益のため、互いに尊重する関係として進むべきだ」という立場である。ハン・ドクス(韓悳洙)首相は、尹大統領の歴訪期間に行なった記者会見で「世界が尊重する価値、進むべき原則を追求することにおいて、中国が不満をもち経済的に不利な行動をするならば『それは正しい行動ではない』と話さなければならない」と語った。特に “韓国の対中政策に反発した中国がサード(THAAD:終末高高度防衛ミサイル)の時のように報復措置に乗り出したとしても、外交原則をそのまま守るのか”という質問に対し「もちろんだ」と断言した。

このことを「戦略的選択」と解釈する見方も出ている。これに関して韓国大統領室の経済首席は「この20年間享受してきた中国を通じた輸出好況期は終わろうしているため、市場の多角化が必要だ」とし「なぜ今ヨーロッパなのかというのは、われわれが直面しているグローバル交易環境の構造的変化にあらかじめ準備しようとする主旨だ」と語った。

尹大統領はNATO首脳会議期間、ポーランドとは防衛産業とインフラ、チェコとは原子力発電、オランダとは半導体供給網、デンマークとは再生エネルギーなど、国家に合わせたセールス外交に注力したのは「中国の代案をヨーロッパで探す」という戦略の一環だとみられる。

ただ、大統領室が言及した「中国に対する悩みと様々なジレンマ」からみるに、容易ではない課題となるしかない。外交消息筋は「日米韓3角協力の強化と価値外交の追求は、韓国の選択可能な選択肢ではあるが、ややもすると中露朝を同時に敵に回し、朝鮮半島情勢管理に負担となるおそれがある」とし「政治的に新たな中韓関係の設定・経済的にヨーロッパ市場拡大など、精密な代案準備が成されなければならない」と語った。

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