文大統領(右)の招待を受け、金委員長は近いうちにソウルを訪問することにした(コラージュ)=(聯合ニュース)
文大統領(右)の招待を受け、金委員長は近いうちにソウルを訪問することにした(コラージュ)=(聯合ニュース)
【平壌(共同取材団)、ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は19日午前、18日に続いて平壌で会談し、「平壌共同宣言」に署名した。文大統領は共同記者会見で、「(金委員長に)ソウル訪問を要請し、金委員長は近いうちに訪問することになる」と明らかにした。金委員長の訪韓が実現すれば、南北分断後、初めて北朝鮮のトップが韓国を訪れることになる。そうなれば南北首脳がソウルと平壌を行き来する方式での首脳会談の定例化も現実味を帯び、南北関係がさらに発展するとの期待も高まる。 文大統領は署名後の会見で、「近いうち」について、「特別な事情がなければ今年中を意味する」と説明した。これまで南北首脳会談は韓国大統領が平壌を訪れて行うか、軍事境界線のある板門店で行うかのどちらかだったが、金委員長の訪韓が実現すれば、南北関係に新たな歴史を刻むことになる。文大統領も「南北関係の画期的な転機になるだろう」と期待を示した。 金委員長は4月27日に開かれた首脳会談で、軍事境界線を越えて板門店の韓国側地域に入ったが、板門店は国連軍司令部が管轄する地域であることから、韓国を訪問したとみなすのは難しい。 北朝鮮トップの韓国訪問は2000年の南北首脳会談で交わされた南北共同宣言でも故金正日(キム・ジョンイル)総書記が適切な時期にソウルを訪問するとの内容が盛り込まれたが、同氏が2011年に死去するまで訪韓が推進されることはなかった。 07年の首脳会談で合意した南北首脳宣言には「南北は関係発展のために両首脳が随時会って懸案を協議する」との内容が盛り込まれたものの、北朝鮮トップの訪韓については明示されなかった。 07年の南北首脳会談の際に首脳会談準備委員長だった文大統領は11年に出版した自叙伝「運命」で当時を振り返り、「われわれが望んだものはほとんど入っていた。ただ一つ抜けていたものがあるとすれば首脳会談の定例化だった」と記した。 これまで北朝鮮トップによる韓国訪問が実現しなかった最も大きな理由として警護問題が挙げられる。北朝鮮内でもトップによる視察はほとんど事前に知らされることなく、完全に統制された状況で行われている。韓国では突発的な状況に対応しきれない。  ただ金委員長は6月にトランプ米大統領との首脳会談のためにシンガポールを訪問するなど、北朝鮮を出ることに柔軟な態度を見せており、このような金委員長の考え方がソウル訪問を約束することになった背景になったとみられる。 北朝鮮トップの韓国訪問に反対する世論が韓国側にあるにもかかわらず、金委員長がソウル訪問を約束したことも注目に値する。 両首脳は南北関係をさらに強化するためにはいずれ克服しなければならない部分と認識し、韓国側に否定的な世論があることを承知で決断したとの見方も出ている。 韓国・北韓大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授はこれと関連し、「金委員長も(答礼の訪問に対する)韓国側の否定的世論を突破すべきだと考えたことが決心の背景」と分析した。 金委員長の訪韓が実現すれば、南北首脳会談の定例化も現実味を帯びてくる。板門店や平壌だけでなく、それぞれの首都を行き来して首脳会談を開催すれば、これまでよりもはるかに自然な形での首脳の交流となる。
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