<W解説>4回目のG7サミット出席を果たした韓国、尹大統領の外交の成果は?(画像提供:wowkorea)
<W解説>4回目のG7サミット出席を果たした韓国、尹大統領の外交の成果は?(画像提供:wowkorea)
先進7か国首脳会議(G7サミット)拡大会合への出席で広島を訪れた韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が21日午後、全ての日程を終え、帰国の途に就いた。拡大会合に出席した尹大統領は、外交・安全保障や経済のほか、発展途上国への支援や環境問題などに関する国際協力について議論した。21日朝には岸田文雄首相と広島市の平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を韓国の大統領として初めて訪問。続いて日韓首脳会談、日米韓首脳会談に臨んだ。3か国首脳会談では、日米韓の連携を新たなレベルに発展させることで合意した。バイデン米大統領はこの席で日韓両国の首脳を米国に招待すると提案。北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させ、中国が覇権主義的な動きを強めている中、日韓間で再開した首脳間の相互訪問「シャトル外交」が、米国を加えた3か国でも実現しそうな雰囲気を見せている。

今回のG7サミット広島サミットに日本政府は、構成する7か国のほか、韓国など8か国の首脳と、7の国際機関の長を招待した。法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」を実現するためだ。

韓国の大統領がG7サミットに参加するのは今回が4回目だった。2020年、米国のトランプ大統領(当時)がG7の枠組みについて「時代遅れだ」と批判し、韓国やロシア、オーストラリア、インドを加え、G10またはG11に拡大したい意向を示した。新型コロナウイルスの感染拡大により、この年の対面によるG7サミットは中止となったが、韓国は、翌21年に英国で開催されたG7サミットに、当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が出席した。

19日に広島入りした尹大統領は、同日夜、在日韓国人の被爆者らと面会した。韓国の大統領が広島の被爆者と会うのは初めてで、尹大統領はこれまで被爆者への支援が十分でなかったとして陳謝した。また、新設する「在外同胞庁」で、在日韓国人被爆者への支援を強化すると約束した。

21日朝には岸田首相と共に、平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪問。献花した後、約10秒間、黙とうした。

続いて日韓首脳会談が開かれ、岸田首相は今年3月以降、尹大統領との会談が3回目となることに言及。「われわれのもとでの日韓関係の進展を如実に示すものだ」と強調した。その上で、慰霊碑を共に参拝したことについて「日韓両国の関係でも世界の平和を祈る上でも大変重要なことだ」と述べた。

これに対し、尹大統領は「G7サミットの結果を踏まえ、経済安全保障を含むグローバルアジェンダでも韓日の協力が一層強化されると期待している」と述べた。また、慰霊碑の参拝については「われわれの共同参拝は、韓国人原爆被害者に追悼の意を伝えると共に、平和な未来を準備するための首相の勇気ある行動として記憶されると思う」と強調した。

一方、昨年11月以来、約半年ぶりに開かれた日米韓首脳会談では、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対処するため、ミサイル情報を3か国が即座に共有する仕組みづくりを前進させることで一致した。会談で、バイデン大統領は、岸田首相と尹大統領が2か国関係の改善に取り組んでいることを称賛。日米韓のパートナーシップとインド太平洋の結束がより強固になったと指摘した。

米国は、核・ミサイル開発を加速させている北朝鮮や、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、3か国の連携をさらに強化していきたい考えで、バイデン大統領は日韓の両首脳を米国に招待し、3か国による会談を会談することを提案した。日本経済新聞によると、米政府高官は「日韓首脳の訪米の日程は不明なものの詳細を詰めている」と話した。

尹大統領はサミットで広島滞在中、ウクライナのゼレンスキー大統領とも会談。地雷除去装置、緊急輸送車両など現在ウクライナが必要とする物資を迅速に支援する考えを示した。

尹大統領はG7サミットとそれを前後して、各国首脳と相次いで会談した。訪日前の17日にはカナダのトルドー首相と、日本から帰国後にはドイツのショルツ首相らと会談した。韓国紙の朝鮮日報は尹大統領のG7前後の日程を「外交スーパーウィーク」と表現した。

今回、日米韓3か国が連携を新たなレベルに発展させていくことで合意した意義は大きい。一方、韓国では、日韓関係改善を目指す尹政権が日本寄りすぎるとして批判の声も上がっているが、今回、日韓そろっての慰霊碑を訪問したことは、両国の被爆者や支援者の間で肯定的に受け止められている。韓国大統領室は「歴史問題を解決するため、両首脳は言葉だけでなく行動を起こした」と意義を強調した。

韓国世論が今後、尹大統領のサミット出席を含めた「外交スーパーウィーク」をどのように評価するか注目される。

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